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2006年10月 8日 (日)

[季刊里海]刊行にあたって

創刊号刊行にあたって

06kaii131025akiika ぐるっと海に囲まれた列島に住む日本人は、海とはとても深いかかわりをもち暮らしています。「海は誰のものだろう?」という問を発し、その答をどう導き出すか、これまで多くの議論が繰り返されてきました。「海は誰のものでもない」と一応の答えは出せますが、現実世界では、異なる立場の人が、自分にもケンリがあることを主張し「誰のものでもない」という答に納得していません。
 「誰のものでもない」は、「みんなのもの」と、ほぼ同義です。では「みんな」とはどんな実体を指すのでしょうか。国民すべてでしょうか。地域の人でしょうか。グループの限られた人を指すのでしょうか……。なかなか一筋縄ではいきません。
 日本では、自然領域の「山野河海」(さんやかかい)は、個人に属さず「誰のものでもない」「みんなのもの」として認めあってきた長い歴史があります。明治維新で近代国家の仲間入りしてからは、「みんなのもの」と「個人のもの」を、自然領域の性質に応じ使い分けてきました。ただ、どちらかといえば、「みんなのもの」の性質を解消し、誰の目にも実体が明らかで、法律で明文化した「個人のもの」の性質をもつケンリに置き換えようとする流れが主流にありました。
 最近、この実体として存続し続けてきた「みんなのもの」という自然領域の所有システムを再評価し、現代の人が暮らしやすい仕組みにつくり変えていくために活かそう、という主張が登場してきました。環境保護、資源利用や、まちづくりを考えるときに、個人所有でも共有でもない、もう一つの所有のかたち「総有(そうゆう)」という言葉が新聞記事でも使われるようになりました。「コモンズ」も同系の言葉でしょう。
 本誌は、「みんな」と自然領域の所有・利用・管理にかかわる現代的テーマにスポットをあて、海・川・森や「土地と水」のつながりがもとになって起きる身近な出来ごとを記事にして掲載していきます。また、マチ探検や海山川の食探検や環境教育にも迫ります。
 ネット・ブログ全盛時代だからこそ、自然とマチ、土地と水辺と人のかかわりを視点軸にすえ、じっくり腰をすえ、テーマを掘り下げたアナログ雑誌があっても良いのではとの考えから本誌が誕生しました。「里海」から「里山」や「マチ」を眺める。そんな視点から今を考えてみようと思います。
季刊里海・編集主幹 南陀伽紫蘭 

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