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2006年12月 1日 (金)

里海から地域の仕組みを考える

人と自然のかかわり利用するから守る、守るから利用が続けられる

 「関いずみ」さんから次のような[季刊里海]創刊号を読んでの「感想」のおたよりをいただきました。

私は、漁村の地域を維持する仕組みとして、「環境社会システム(「環境」と言う言葉が云々というのはちょっと置いておくとして)」ということを考えてきました。

例えば漁村を考えたときに、漁村では、漁業という基本的に自然から採取することで成り立つ産業を核として、経済が成立し、そのことで生活が保たれる。海の生物は自然界が創り出す「天の恵み」なので、漁業が成立し継続していくためには、生物が再生される自然環境が維持されることが絶対条件となる。

漁村地域の人々は自分たちの生活の基盤となる漁業が自然からの恩恵によって成立していることを認識し、行事や信仰の中で自然への畏怖と敬意の念を表現してきた。

また、季節や地域毎に異なる自然条件に漁労形態を合わせて生産をあげる工夫が凝らされ、地域の自然の循環を妨げないような努力もなされてきた。近年、森林と沿岸域との関連が改めて見直され、漁業者が率先して荒廃した森林に樹木を植える運動を行っているが、このような活動は漁業という人間の生産活動が自然界のシステムの中で営まれ、自然環境が保全されて始めて人間の諸活動も成立すると言う認識を具体的に示している一つの例だと思う。

もちろん、産業の効率化や生活の便利さを求める余り、あらゆる環境が改変され、そのことが結局地域の自然を破壊している例はいくらでもある。けれど、結局そのことは、最後には環境汚染やそれに伴う様々な弊害となって人間に戻ってくる。

つまり、人がその産業や生活を維持しようと思ったら、これら人間の行為を支えるために利用する自然を、(その利用を継続させるために)きちんと守ることが大切で、そういった人と自然との互酬性(利用するから守る、守るから利用が続けられる)ということが、地域を維持する仕組み(つまり環境社会システム)なのだと考えてきたわけです。

それぞれの地域で、どこにどれだけ重点を置くか、例えば、より産業振興をめざすとか、環境保全と言うところを重めにするとかいうことが、これからの地域がどういう姿になるのかというところに大きく関わってくるのだと思います。

地域のあるべき姿(構想)については、地域自身が選択権を持っている。重要なのは、どれかを重んじるあまり、他の要素が崩壊してしまったら元も子もない、ということを、みんなが認識して、時には活動に規制をかける勇気を持たなければならないということではないでしょうか。

本誌で、柏島の神田さんが示されている、便利な暮らし←→里海←→環境保全という仕組みは多分非常に類似した考え方ではないかと思うのですが、人と自然を結びつける要素として里海(ゆれうごく里海)というものが明確に挙げられることで、人々の生活と自然との関係がより具体的なメッセージとなって届けられていると感じました。それはおそらく、神田さんにしろ金萬さんにしろ、実践を通してものを見、考えている方だからこその、「実体あるメッセージ」なのだろうな。

関いずみ((財)漁港漁場漁村技術研究所 海とくらし情報室)

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