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2007年2月 6日 (火)

利権への布石がはじまっているのだろうか?

政治力学のハザマで動くものとは

 友人で、もと参議院議員政策秘書をやられていた田中信一郎さんから、「今なぜ海洋基本法なのか?」の記事を読んで、個人メールにおたよりを頂戴しました。とても適切な指摘を含んでおり、ブログでの転載をお願いしましたら了解していただきました。田中さんは、政治の実践舞台での経験を糧に、現在大学院で、「政策決定過程」の研究を専門にされています。(中島 満)

 ご無沙汰しております。田中信一郎です。ブログ拝見いたしました。

 政策決定過程の研究者の目から見ても、非常に的確なご指摘だと思います。

 特に、中島さんは、「基本法」が議員立法でやられることの不思議さを指摘していますが、ここは非常に重要な点だと思います。

 原則として、各省庁は、つくりたい法律について、議員に依頼して立法するよりも、内閣提出のやり方を好みます。なぜならば、議員立法に比べて、内閣提出法案の方が、官僚にとって不確定要素がはるかに少ないからです。

 それでも、省庁主導で立案した法案を議員立法にしようという今回の様なケースが、まれにあります。(審議会の答申や海洋開発法案などがあることから、実質的には国土交通省、つまり旧建設省が立案作業をしているのは明白です)

 その理由は、内閣提出法案は、全省庁の賛同を必要とするからなのです。(これを担保しているのが、閣議前に開かれる事務次官等会議です)

 つまり、他省庁の賛同を早期に得られる見通しがない法案を、省庁間調整を回避するために、議員立法に持ち込むわけです。

 当然、他省庁も族議員を通じて、反対の働きかけをしますが、いまだに実力を有する建設族と、落ち目の農水族では、力の差があります。

 しかも、旧運輸族の賛同も得ているのでしょうから、農水族、それも水産族は、十分に太刀打ちできないでしょう。

 さらに、一見、宣言法として曖昧にし、民主党も賛同の動きを見せているとなれば、自民党の水産族議員たちは非常に反対しにくいはずです。

 最終的には、何らかの覚書(秘密協定)が国土交通省と水産庁との間に交わされて、決着するように思います。

 国土交通省の狙いも、中島さんのご指摘どおりだと思います。

 要は、海洋開発の主務官庁を国土交通省にすることが、当面の目的なのだと思います。旧建設官僚と旧運輸官僚のタッグという印象も受けます。具体的な利権への布石とも言えるでしょうか。

 いずれにしても、水産庁や環境省にとっては面白くないものでしょう。

 結局、議員立法というのは、政府内の不協和音を示しているのだと思います。

田中 信一郎(明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士後期課程/元参議院議員政策担当秘書)

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