デジタル峠を越えて(藤田恵さんからのおたより)
元木頭村長の藤田恵さんからお便りをいただきました
2月14日、衆議院議員会館で開かれた「川を住民の手に! 国会シンポジウム」(主催:「公共事業チェック議員の会」、「水源開発問題全国連絡会」)に参加してきました。淀川流域委員会の休止など、平成9年河川法等の改正(公共事業関連法の流域関係地区住民の意見を反映させる環境への配慮のための公聴会設置などの条項が盛り込まれました)後の、河川行政に住民意見を反映させていこうという方向は、一時の取り繕いであったのかとおもわざるを得ないような対応が表面化してきています。
実は、河川行政の「環境への配慮」や「持続可能な開発」という時代の流れに逆行するような方向と、「海洋基本法」制定の動きとが、連動しているような気がしています。そのことについて整理をして書いたのが「今なぜ海洋基本法なのだろう?」ということであったのですが、海と川とのかかわりを考えてみよう、という提案もあって、同シンポジウムの参加団体の広報用チラシを置くテーブルの片隅に[「川を住民の手に!」07.2.14シンポジウムに当たって考えたこと―海洋基本法の思想と河川法行政について―]の短い資料を40枚ほど用意し、担当者の許しを得て置いてみました。帰りには、すべてがなくなっていましたから、40人の手にはわたったということでしょう。そして、それを読んだ方からご丁寧なメールを4人の方からいただきました。
ところで、このシンポジウムに参加して、わたしの隣の席に偶然座っておられたのが藤田恵さんでした。ぼくは、どこかで見たお顔と、名前だなあと思いながらも、気軽に話しかけてくる藤田さんに名刺を差し出して挨拶をして、はずかしながら上記資料の話をしました。会議司会者から、藤田さんが、紹介されました。そのとき初めて、その方が、「脱ダム」の実践をされ、「脱ダムから緑の国へ」の著者であり、「木頭村ダム建設阻止条例」を制定された元木頭村村長の藤田さんであることを知りました。
家に帰ってから、「木頭村ダム建設阻止条例」にある前文「村に巨大ダムはいらない。村は、将来の村民のためにも、これからも美しい森と清流と共に生きていくことを自治権の主体として選択する。」をはじめ、もう一度、条例内容と、本棚につんどく状態にあった「脱ダムから緑の国へ」をあらためて読み、すっかり藤田さんのファン(勝手に失礼)になってしまいました。
その経緯を書いた手紙と、里海誌を藤田さんに送りましたら、以下のご丁寧なお手紙を頂戴しました。公開OKの確認が取れましたので、お礼の挨拶と誤記など最小限の訂正をしたものを掲載いたします。なお、お手紙に書いてある、お贈りいただいた、丸山博編著『内発的発展と地域社会の可能性』(2006年、法律文化社)については、別記ブログ記事にて写真入で紹介いたします。(木頭村は、平成の大合併で「那賀郡那賀町」になりました。また上記写真は、㈱きとうむらのサイト中の「木頭村はこんな村です」からお借りしました:同サイトには徳島県内の旧木頭村のアクセス地図ものっています。)
By MANA(なかじまみつる)(C)
「デジタル峠」と「無駄な公共事業」の話がとても印象的でした。藤田さんからのお手紙はつぎのとおりです。
藤田恵さんからのおたより
「季刊里海」まだ、さーっと目をと通しただけですが、最初の「刊行に当たって」にもありますように、海、川、森(山)は「みんなのものであるのに、国や自治体が勝手に壊したり、一部の企業が金儲けのために滅茶苦茶にしているのが現状です。
そのごく一例ですが、渓流釣りでアメゴ(ヤマメ)のテンカラ(トバセ・昔テンカラ)や鮎の分銅シャクリで(小学館のビーパル誌2005 年11 月号で兄と紹介・今時こんな疲れる鮎捕りをする人はあまりいません)鮎を追いかけて近くの川や高知県の川へ、私は時々出かけています。その時ほとんど近道の峠越えをします。
これが一部2車線の国道や県道などですが、いつも対向車が全く無いか(0)、たまに(1)台だけという、いわゆる「デジタル峠」ばかりです。これは私が通る徳島県内等だけではなく、つまり、猿と猪しか通らない国道などが全国に何万箇所も造られているということです。自民党銀行派(潰れていた銀行を税金で助け、その銀行は一般預金者の利益になる新規の商品はなに一つ出来ていないのに、高利貸し・サラ金にそっくりその金を貸して、莫大な利益を上げ、多くの人が違法な取り立てで自殺)の小泉鈍(ドン)一郎の改革は真っ赤な嘘で、医療費、子供の福祉費、教育費や年金を削りながら、私が出かける県南部だけでも「デジタル峠」の工事は今でも数箇所で進んでいます。
こんな無駄な公共工事の現地を見て、近年国会で追及した国会議員は私の知る限り、石井紘基衆議院議員、佐藤謙一郎衆議院議員、中村敦夫参議院議員の3人だけでした。しかし、石井衆議院議員は右翼によって(と警察が発表しただけで、真犯人替え玉説が有力です)非業の最期を遂げられ、後のお2人は共に落選されています。
残念ながら先日のシンポで紹介のありました、「公共事業チェック議員の会」も鳩山さん(元田中角栄派)が会長では多くを望むのは無理だと私は考えますがいかがでしようか。
ところで、室蘭工業大学教授で環境教育学博士の丸山博先生が9年間も木頭村へ通われた研究成果の『内発的発展と地域社会の可能性―徳島県木頭村の開発と住民自治―』を是非ご一読賜りたくを同封いたします。
村の歴史、文化、経済、住民運動、村政を、日本の行政史上初めて国の巨大ダム・細川内ダムを中止に追い込んだ運動を中心にして、一つひとつの事実を掘り起こしながら、「環境正義」などを踏まえて、先生の明確な考察が展開されています。
本屋で平積みされるような本ではありませんので、少しでも多くの方に読んで頂きたいと思っております。
取り急ぎお礼にて失礼いたしますが、「9条ネット」の資料も同封いたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
2007年2月17日
藤田 恵(サイン)(c)
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