里としての海を考えるシンポジウムが開かれます
「里としての海を考えるシンポジウム」が開催されます―漁業者と市民との意見交換を期待します
●昨年末に表題のシンポジウムの案内が送られてきました。主催は、JF全漁連と「海と魚と食を考える会」で、水産庁の委託事業「環境・生態系保全活動支援調査・実証事業」の一環で開かれるものですが、主催者事務局は、漁業関係者だけではなく、ひろく海に関心を持つ市民の方々の参加を呼びかけています。
●開催日時は、新年1月19日(土曜)午後1時から4時まで。会場は、虎ノ門パストラル5階「ミモザ」です。
●参加招請の範囲に漁業水産関係者という文字がありますが、事務局では、官費事業のかかわりから書いているだけで、ぜひとも、広い海好き市民の参加を期待したいということです。参加人員が150人と限定した部屋のため、PDFに含まれる申込書にご記入の上、MANAあてメールでも、FAX(03-3319-3137)でも送っていただければ、事務局にMANAから連絡をとります(勿論事務局に直接でもOKです)。
●基調講演に、里山や森と人間との大切なつながりを一貫して論じ続けてこられた哲学者の内山節さんを招いたことにも、沿岸漁業のこれからを考えるときに、沿岸域と地域社会、あるいは市民との連携プレーを以下にはかりながら、海という自然域の持続可能な利用と管理をはかろうという、新たな取り組みにチャレンジしようという姿勢が現れているということなのでしょう。
●内山さんは、講演のタイトルを、「里海へのメッセージ」とし、実施要領に、次のように書いています。
「海を生産と営みの場だと考える人々の結び付きを、新しくつくりだしていく試み、おそらく問われているのはそのことなのであろう。それは漁民だけのものではないかもしれない。漁村とともに暮らす人々や、永遠の漁業を保証したいと思う都市の人々をふくめて、共有された世界としての海をみつめなおす。そのような試みのなかから、私は新しい協同の世界はつくられていくのだと思う。海をまもる協同的な取り決めや行動、新しい慣習が、ここから生まれていくのだと思う。」
●「海をまもる協同的な取り決めや行動、新たに生れる慣習」の必要性を指摘し、「共有」と「協同」の世界を作り出すこころみを、はじめよう、と訴えているのです。沿岸漁業界だけで、自分たちだけの社会や経済の発展や維持について期待し論じる時代は、もはや終わったともいえましょう。また、そのようなことの期待の実現は、もはや不可能でもあるのです。
●その意味で、今回のシンポジウムは、「持続的な漁業活動」を続けていくために、市民を協力者としていかに地域概念や経済概念に取り入れていくかが問われているという意味で、「協同」あるいは「協働」という考え方を「共有」という考え方のもとで、どのように実現して、「これから」につなげていくかを、「考える」シンポジウムという位置づけができそうです。
●シンポジウムのパネラーには、松田治さん(広島大学名誉教授)、加瀬和俊さん(東大社研教授)や金萬智男さん(漁師、盤州里海の会)、足利由紀子さん(大分佐伯の水辺に遊ぶ会)、乾政秀さん(水土舎)など、里海活動実践者と意欲的研究者等が参加しています。
●また、そのように、意見交換が前向きにされることを、期待したいと思います。短時間で論じられる範囲は限られるとは思いますが、その一歩を進ませる「芽」が生え出てほしいなあという気がします。
●全漁連内に同事業の報告媒体としての「里海通信」でも案内していますが、MANAとしても、開催趣旨に賛同し、ホームページ、ブログを通じて参加を呼びかけております。水産庁や全漁連においてもすでに「里海」としての漁村や沿岸漁業地域の活性化を図ろうと、従来の漁場保全という観点から、さらに一歩も二歩も踏み込んで、生態系保全や再生活動の支援などの、広義の漁業漁村活性化対策にとりかかったということだと思います。
●MANAも、討議内容のとりまとめなど、微力ながら協力していくつもりですが、ぜひ、当ブログや、MLへの案内を通じて、興味、関心のある方、一言もの申したい方は、ぜひ参加されることを期待しております。(MANA:なかじまみつる)
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