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2008年4月22日 (火)

「里海」って何だろう?が記事になりました

Ship&Ocean NewsLetterの185号に拙稿が掲載されました

表題の《「里海」って何だろう?》というテーマで、「Ship&Ocean NewsLetter」(海洋政策研究財団)からの依頼で、2ページにまとめてみました。サブタイトルに、「生業(なりわい)と暮らしを育む里海を考える視点」としたのも、「地域」と「地先」の海の利用について、地域住民と地先の浜との関わりと、役割りについて考えてみたかったからです。

 OPRF,Ship&Ocean NewsLetter№185

 「080420satoumi-kiji.pdf」をダウンロード

地域社会は、時代と共に、大きく変貌をしてきました。国レベルあるいは、広域的な経済圏の影響を受けつつ、その地域が置かれた社会経済環境の要因によって多様な姿へ代わっていきます。つまり、この小文で考えてみたかったのは、漁村とか、農村とか、新興住宅地とか、島嶼とか、工場地帯のような、これまで常識的に、くくってきた地域概念はいつの頃からか、その地域の優位性を表わす特徴としては、必ずしも機能しなくなってきている気がします。

「地域」の数だけ、その地域と地先の海との関わり方の「個性」があるということに、もっと着目してみる必要があるのではないか、ということです。

この小文の最後に、一つだけ事例として紹介した「お台場の海でノリづくりをして、地域の子供たちに、このすぐ身近な、目の前にある海が、どれだけかけがえのない“豊かさ”と“楽しさ”を生み出す自然の場」であることを体験してもらう試み、も、実は、その地域にしか持ち得ない「個」の力、あるいは表現力というものが、備わっているのだ、ということにスポットを当ててみるのに、最適であると思ったからでした。

古くから歴史的に強く規定されてきた「漁業」専業の漁村地区も、埋立地という全く新たに歴史が築かれていく地に誕生したお台場のマチも、地域の人々が海を利用するという関係に眼を向けた場合には、「地域」の対極的な姿の差異がどれだけあろうとも、ある共通した管理と利用の仕組みの原則が存在するということなのではないか、という視点が成り立つのではないかと考えています。

今回、投稿をすすめていただいた、編集代表の秋道智彌先生は、掲載号の編集後記で、次のように、先生にとっての「里海を考える」視点を簡潔に示しておられます。

花の話を里海に置き換えてみよう。人はなぜ、里海や里山にさまざまな想いをいだくのか。本誌で、指摘されているように、里海の厳密な定義はない。その一方で、日本の国は里海、里浜を再生する事業を立ち上げている。そのこと自体には賛成をしたいが、里という語の心地よい響きだけでこのままつっぱしれるかどうか、不安がよぎる。里海という共同幻想についていま一度考えてみる必要がありそうだ。なぜなら、モデルとなる里海などはじつのところない。あるのはそれぞれの地域で育まれてきた個としての里海なのだ。…中略…私の里海にたいするイメージは少年時代に毎夏、訪れた若狭の海で形成された。裸足で浜を歩くときの砂の感触…中略…ただし、(こうした)感性の世界の背景には、自然に及ぼしてきた人間活動の結果としての制度や経済原理などが埋め込まれているはずだ。その糸をときほぐすことこそ重要なのだ。…中略…イメージの世界は、現実の浜を訪れると瓦解する。ゴミで覆い尽くされた浜、油の匂いのする磯。網をつくろう人の姿がない海辺。こんなはずではなかった。そこで失望し、怒りを覚えるのは都会からの旅人だけではない。地域の人々は海をどのように考えているのか。声にもならない心の世界を通じた対話から里海再生を考えることがあっていい。…以下略(秋道智彌氏。Ship&OceanNewsLetter2008年4月20日№185号編集後記)

「個としての里海」であり続けてきた日本の津々浦々の沿岸域は、漁村でも海村でも浜でも、呼び方はどうでもよかった。しかし、実は、「里海」を意識しはじめ、「里海」という言葉が使われるようになり、そして定着しツツある時代になったということは、あらためて、人々と海との関わりの仕組みの糸を解きほぐさなければいけない、ほど、海と人のつながりは希薄になり、のっぺらぼうの没個性の海岸域が多くなってしまったということの証左なのです。再生ということは、自然環境や海生生物たちの現状や将来に、眼がいきがちですが、私の視点というのは、実は、どうしても海と関係を持つ人、とくに地域の人々が海という自然域とのつながりの深さをとりもどしたり、新たに創り出したりする、そういう方向に、どうしても入ってしまうのです。

◎掲載記事中の筆者の校正ミスがありましたので、この場を借りて訂正しておきます。

【誤】5ページ文末下脚注下「お台場環境教育協議会協同事業協定書」(2005年12月12日締結)

【正】「お台場環境教育協議会協働事業協定書」(2005年12月12日締結)

By 中島 満(MANA:なかじまみつる)

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