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2009年2月 1日 (日)

グラフィケーション誌1月号にインタビューされました

新しい海の共有―「里海」づくりに向けて

富士ゼロックスが発行する「GRPHICATION」(グラフィケーション)誌の2009年1月号「特集-共用・共有知を考える」で、MANAをインタビューして、表記のタイトルで3ページGraphication1600901hyousiの記事にまとめてくれました。

同誌を編集制作する、ル・マルス(LE MARS)社の編集長、田中和男さんから昨年秋に電話があり、「里海」という新しいとらえ方について話を聞かせてほしい、ということでした。うれしい依頼であり、新聞記事にコメントが載るのではなく、いつも自分がやっていることを、聞かれる立場になって話し、それを記事にまとめてもらえるというのですから、こんなにありがたいことはない。

出来上がった3ページの記事をPDFにして載せておきます。

「Graphication0901satoumi01-03copy.pdf」をダウンロード

特集の巻頭には、「社会の底辺がじわじわとくずれる気配が強まっている。社会的経済的救済が必要なことは誰の目にも明らかだ。しかし、かつてない危機の全体は見えず、解決策は見えてこない。唯一、希望につながる手だてがあるとすれば、〝共〟に考え、〝共〟に行動する市民の自治意識である。〝共の領域〟を活性化し、かつての〝入会〟やコモンズに見られた〝共用〟〝共有〟の慣習を新たな知として現代にとり戻す試みをみんなで支え、広めていきたいものだ。」と、その企画意図を書いている。

私も同感である。たしかに、〝里海〟を考える視点というのは、海と人についてのかかわりの再構築というテーマにのぞむということなのだから、まさに、「海の入会」の現代的な意味や、その役割を地域と市民とで、もう一度考え直してみることにあるわけだ。

「海の共有」は、田中編集長がつけたタイトルだが、そろそろ、海の利用について、こう考えていかなければいけないときに来ているのであろう。また、冒頭に載る、環境経済学者であり、コモンズ研究について意欲的なとりくみをしている、室田武さんと三俣学さんのお二人の「環境・コモンズ・万人権」の対談は、日本における、人と自然領域と社会経済とのかかわりを、「入会慣行」を法制度の仕組みにうまく組み込んできた近代の歴史を振り返りながら、その評価と検証をかたり、最新のコモンズ研究成果を紹介して、ヨーロッパのコモンズの考え方との対比に話を進めている。三俣さんが最後に、結んでいる言葉を引用しておこう。

「三俣:日英の人会とコモンズの比較を、二〇〇五年にお亡くなりになった平松紘という法社会学者が深く研究をされていて、仮に日本で歩く権利などということを言い出したら、農山村では大騒ぎになるだろうとおっしやっています。たまたまフラッと入ったのは黙認しても、それが権利となったら、そんなものは認めないだろうと。日本の人会が地縁のない者には閉じている、そのことは令後、入会近代化という問題と合わせて考えなくてはいけないことだろうと、平松先生はずっと指摘されていましたね。
 その問題を、私は向こう〔イギリス・マン島の調査研究〕へ行って実感しました。絶対的に私的な権利というものはどこまで認められるべきか、一方、私的な権利をどこまで社会的に制限できるか、またその根拠となる正当性はどのような点に認められるか。これらのことは今後さまざまな分野で問題になると思います。
 北米のコモンズ研究者たちは、コモンズの一つの要件として、コモンズとその外部との関係が人れ子状になっていることが大事だと言う。そのためには、どのような入れ子構造になっているのかを当事者らが認識しなくてはならないと。
 その意味では、日本の人会はもう少し閉じつつも開いていくことが大切かもしれません。例えば人会間交流などを通じて。内部の協業関係を壊さないことを前提とし、共同できるところは外部に開いて、共的領域をもっと広げていくことも必要だと思っています。」

 私がインタビューの中で、里海についての視点でポイントなるのが「長い歴史の中で培われてきた〔漁業者・漁村地域と地先についての〕海のルールを基に、主体はあくまで漁業者とその地域の人が担うのですが、自主的に海の一部を開放し、新しい海の利用を考えようという動きが出てきたのです。これまでの沿岸の海は産業としての利用=漁業的利用と、漁業者をはじめ海沿いに住む人々の生活と結びついた利用=慣習的利用ガ中心でした、最近はここに、地域外、漁業関係者意外の人々による利用=市民的利用を加えて考えなくてはならない時代になってきた」という「海はみんなのもの」として、「海を開く」ことによる新しいルールづくりであることにふれました。「閉じつつ」「開く」、そうした選択をしていくときの地域実態に目を向ける必要があるのだろう。「海の共有」の達成しなければいけない課題が、そこにある。(MANA:なかじまみつる)

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後日追記:「閉じつつ」「開く」意味については、3月の「里海の理念と水産環境保全」3.27シンポで報告してきましたhttp://satoumi.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-bde0.html
で、整理をしていますので、ご覧ください。

投稿: MANA:なかじまみつる | 2009年5月16日 (土) 14時24分

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