2008年1月 4日 (金)

里としての海を考えるシンポジウムが開かれます

「里としての海を考えるシンポジウム」が開催されます―漁業者と市民との意見交換を期待します

昨年末に表題のシンポジウムの案内が送られてきました。主催は、JF全漁連と「海と魚と食を考える会」で、水産庁の委託事業「環境・生態系保全活動支援調査・実証事業」の一環で開かれるものですが、主催者事務局は、漁業関係者だけではなく、ひろく海に関心を持つ市民の方々の参加を呼びかけています。

開催日時は、新年1月19日(土曜)午後1時から4時まで。会場は、虎ノ門パストラル5階「ミモザ」です。

里としての海を考えるシンポジウム実施要領PDF

参加招請の範囲に漁業水産関係者という文字がありますが、事務局では、官費事業のかかわりから書いているだけで、ぜひとも、広い海好き市民の参加を期待したいということです。参加人員が150人と限定した部屋のため、PDFに含まれる申込書にご記入の上、MANAあてメールでも、FAX(03-3319-3137)でも送っていただければ、事務局にMANAから連絡をとります(勿論事務局に直接でもOKです)。

基調講演に、里山や森と人間との大切なつながりを一貫して論じ続けてこられた哲学者の内山節さんを招いたことにも、沿岸漁業のこれからを考えるときに、沿岸域と地域社会、あるいは市民との連携プレーを以下にはかりながら、海という自然域の持続可能な利用と管理をはかろうという、新たな取り組みにチャレンジしようという姿勢が現れているということなのでしょう。

内山さんは、講演のタイトルを、「里海へのメッセージ」とし、実施要領に、次のように書いています。

海を生産と営みの場だと考える人々の結び付きを、新しくつくりだしていく試み、おそらく問われているのはそのことなのであろう。それは漁民だけのものではないかもしれない。漁村とともに暮らす人々や、永遠の漁業を保証したいと思う都市の人々をふくめて、共有された世界としての海をみつめなおす。そのような試みのなかから、私は新しい協同の世界はつくられていくのだと思う。海をまもる協同的な取り決めや行動、新しい慣習が、ここから生まれていくのだと思う

「海をまもる協同的な取り決めや行動、新たに生れる慣習」の必要性を指摘し、「共有」と「協同」の世界を作り出すこころみを、はじめよう、と訴えているのです。沿岸漁業界だけで、自分たちだけの社会や経済の発展や維持について期待し論じる時代は、もはや終わったともいえましょう。また、そのようなことの期待の実現は、もはや不可能でもあるのです。

その意味で、今回のシンポジウムは、「持続的な漁業活動」を続けていくために、市民を協力者としていかに地域概念や経済概念に取り入れていくかが問われているという意味で、「協同」あるいは「協働」という考え方を「共有」という考え方のもとで、どのように実現して、「これから」につなげていくかを、「考える」シンポジウムという位置づけができそうです。

シンポジウムのパネラーには、松田治さん(広島大学名誉教授)、加瀬和俊さん(東大社研教授)や金萬智男さん(漁師、盤州里海の会)、足利由紀子さん(大分佐伯の水辺に遊ぶ会)、乾政秀さん(水土舎)など、里海活動実践者と意欲的研究者等が参加しています。

また、そのように、意見交換が前向きにされることを、期待したいと思います。短時間で論じられる範囲は限られるとは思いますが、その一歩を進ませる「芽」が生え出てほしいなあという気がします。

全漁連内に同事業の報告媒体としての「里海通信」でも案内していますが、MANAとしても、開催趣旨に賛同し、ホームページ、ブログを通じて参加を呼びかけております。水産庁や全漁連においてもすでに「里海」としての漁村や沿岸漁業地域の活性化を図ろうと、従来の漁場保全という観点から、さらに一歩も二歩も踏み込んで、生態系保全や再生活動の支援などの、広義の漁業漁村活性化対策にとりかかったということだと思います。

MANAも、討議内容のとりまとめなど、微力ながら協力していくつもりですが、ぜひ、当ブログや、MLへの案内を通じて、興味、関心のある方、一言もの申したい方は、ぜひ参加されることを期待しております。(MANA:なかじまみつる)

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2007年9月 3日 (月)

『海洋観光立国のすすめ』が発行されました

中瀬勝義・明戸眞弓美・庄治邦昭共著

『海洋観光立国のすすめ』(七ツ森書館)が発刊されました

Syohyou070815nakasekaiyoususume 中瀬勝義さん。エコライフコンサルタントの中瀬さんは、いつも、自転車で日本中を駆け回っているエコサイクルライダーです。そんな自転車好きの中瀬さんの、僕にとっも関心の深い、もうひとつの顔が、東京湾内の海辺づくりについての情報を取材して、「お江戸舟遊び瓦版」(もう通巻41号になりました)のニュースレターや、お知らせを発信し続けている行動派の市民ボランティアーとしての姿です。

その中瀬さんが、日ごろから主張をされているのが、「日本の海をもっと生かそうと」いう「海洋観光立国」構想です。その構想をわかりやすく、ブックレットスタイルで手ごろな価格で、とても読みやすい内容の『海洋観光立国のすすめ』を七ツ森書館から出版(定価900円+税)されましたのでお知らせします。

もう1ヶ月以上も前に、お贈りいただいていたのだが、夏の暑さと忙しさに発行の紹介を遅らせてしまった。

サブタイトルに「持続可能な社会つくり」「こころ美しい日本の再生」とあります。第1章:いま、なぜ海洋観光立国か(中瀬勝義)、第2章:海とスロー・ツーリズム・ジャパン(明戸眞弓美)、第3章:海外にみる海洋観光と都市の賑わい(庄司邦昭)の構成です。

中瀬さんは「はじめに」のなかで「この日本の周囲にひろがる海を新しい観光資源として展開することで、日本は海洋観光立国に転ずることができるのです。東や南に広がる太平洋で、かつてのバスコ・ダ・ガマの大航海時代を体験する観光ツアーやコロンブスのアメリカ大陸発見のイメージ体験冒険旅行やタイタニック号の北大西洋航海旅行を体験したり、マリンスポーツを楽しんだり、一日中海浜のホテルでゆったりと過ごしたりすることを、世界中の人びとに提供することが可能になるのです云々」と書いています。と同時に、江戸時代のような、世界でもまれな循環型ライフスタイルの達成された国であるのだから、「近年の大量生産・大量消費・大量廃棄に乗ったライフスタイルから脱却」し、「今後数十年、数百年かけて江戸時代を参考にエコライフ国家を作り上げ」ようと、提案されています。

今年になってから施行された「観光立国推進基本法」や、先の通常国会で議員提案で成立した「海洋基本法」が7月末の海の日に施行されましたが、そのような動きの中で、本書の刊行はグッドタイミングにちがいありません。海とは何か、海を利用するとは何か、エコライフとは何かを考えるきっかけにしてもらえればとおもいます。

ここまでは、中瀬さんたちのご努力に敬意を表して、本書の推薦をしました。でも、MANA自身としては、海と付き合うときの考えや、海を利用するというときの考えは、ちょっと異なった視点を持っています。以下(続き)に書きましたから、こちらもよんでね。

MANA:なかじまみつる

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2007年7月28日 (土)

いすみ染め百選展のおしらせ

「いすみ染め」百選展のご案内

 MANAが編集した「海の『守り人』論」の共著者でもある、元東京海洋大学教授、水口憲哉さんが企画して開かれる「いすみ染め百選」展が、今日、27日から8月5日まで、いすみ市内の会場で開かれています。夏休み、房総旅行にいきながらよってみてはいかがでしょう。

具体的には、「MANAしんぶん」TOPページから、「味な展示会」をご覧ください。

 開催場所:房総わだつみ美術館 いすみ市岬町江場土2761

 電話:0470-87-7630 

http://www.manabook.jp/hama-bangai-nhksatouminosiki.htm

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2007年6月 6日 (水)

NHK「里海の四季」と「漁業就業者フェアー」

おしらせ―NHK「里海の四季―伊勢湾・答志島」、と「漁業就業者フェアー2007」

ブログも更新しないで1ヶ月以上たってしまいました。なぜか「海洋基本法」に関するアクセス数は今も結構な数が継続しております。知らぬ間に、こんな地味なブログでも1万の大台を超えているのに気付きました。肝心の「里海」発行がぐずぐずしているうちに、もう夏の季節を迎えてしまいました。

この1週間の間に、二通の里海関係の、企画案内が届きましたので、ブログとMANAしんぶんにお知らせのご案内をいたしますので、関心のある方はご覧ください。

●お知らせ―その1

Nhksatoumi NHK津のMディレクターさんから、6月17日(日)総合TV放送の「里海の四季―伊勢湾・答志島」17:00~17:58が、なかなかに面白そうです。答志島といえば、「寝屋子」制度が続いている島で知られています。ちょっとまえにも、NHK「釣瓶の家族に乾杯」で2週にわたって答志島が取り上げられ、「寝屋子」制度のことが全国に向けて流れたので、ご存知の方も多いでしょう。学校に入る年齢になると、実の親とはまた別に「寝屋親」のもとで一定時間をすごし、結婚年齢に達するまで、実の家族と寝屋親の家族と二人の親の元ですごすことになります。青年宿とも共通した習慣ですが、親に相談できないことでも、寝屋親には相談できたり、寝屋子仲間同士での血族以上の結びつきを築きます。意味の説明など不要でしょう。こういうつながり、地域のシステムが残る答志島のさまざまな出来事の映像が「里海とは」を全国の人に伝えてくれるよい機会になりそうです。わざわざ、MANA宛にきれいなはがきを送っていただき、恐縮し、画像ツキのお知らせとなりました。

MANAしんぶんのページにも載せてあります→HERE

●お知らせ―その2

「漁業就業支援フェア2007」/「漁業チャレンジ準備講習会」を6月~8月開催するそうです。その案内文がメールで届きましたのでご案内します。漁師になりたいと考えているひとや、漁業のことを知りたい方、東京・大阪・広島・仙台・福岡で開催されるそうですから、これを機会に出かけてみてはいかがでしょうか。新しい出会いや、自分の可能性発見があるかもしれません。

●ご好評につきまして、今年度も全国漁業就業者確保育成センター及び大日本水産会、全国漁業協同組合連合会では水産庁の支援のもと、事業の規模を拡大して実施することとなりました。
今年度は「漁業でチャンスをつかめ!キャンペーン」として、

『漁業就業支援フェア2007』(全国5ヶ所7会場)及び『漁業チャレンジ準備講習会』(座学:全国14都市、体験:全国10地域)を開催致します。

●開催内容は、MANAしんぶんのページに載せておきましたのでご覧ください。

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2007年2月23日 (金)

デジタル峠を越えて(藤田恵さんからのおたより)

元木頭村長の藤田恵さんからお便りをいただきました

 2月14日、衆議院議員会館で開かれた「川を住民の手に! 国会シンポジウム」(主催:「公共事業チェック議員の会」、「水源開発問題全国連絡会」)に参加してきました。淀川流域委員会の休止など、平成9年河川法等の改正(公共事業関連法の流域関係地区住民の意見を反映させる環境への配慮のための公聴会設置などの条項が盛り込まれました)後の、河川行政に住民意見を反映させていこうという方向は、一時の取り繕いであったのかとおもわざるを得ないような対応が表面化してきています。

Kitomura  実は、河川行政の「環境への配慮」や「持続可能な開発」という時代の流れに逆行するような方向と、「海洋基本法」制定の動きとが、連動しているような気がしています。そのことについて整理をして書いたのが「今なぜ海洋基本法なのだろう?」ということであったのですが、海と川とのかかわりを考えてみよう、という提案もあって、同シンポジウムの参加団体の広報用チラシを置くテーブルの片隅に[「川を住民の手に!」07.2.14シンポジウムに当たって考えたこと―海洋基本法の思想と河川法行政について―]の短い資料を40枚ほど用意し、担当者の許しを得て置いてみました。帰りには、すべてがなくなっていましたから、40人の手にはわたったということでしょう。そして、それを読んだ方からご丁寧なメールを4人の方からいただきました。

 ところで、このシンポジウムに参加して、わたしの隣の席に偶然座っておられたのが藤田恵さんでした。ぼくは、どこかで見たお顔と、名前だなあと思いながらも、気軽に話しかけてくる藤田さんに名刺を差し出して挨拶をして、はずかしながら上記資料の話をしました。会議司会者から、藤田さんが、紹介されました。そのとき初めて、その方が、「脱ダム」の実践をされ、「脱ダムから緑の国へ」の著者であり、「木頭村ダム建設阻止条例」を制定された元木頭村村長の藤田さんであることを知りました。

 家に帰ってから、「木頭村ダム建設阻止条例」にある前文「村に巨大ダムはいらない。村は、将来の村民のためにも、これからも美しい森と清流と共に生きていくことを自治権の主体として選択する。」をはじめ、もう一度、条例内容と、本棚につんどく状態にあった「脱ダムから緑の国へ」をあらためて読み、すっかり藤田さんのファン(勝手に失礼)になってしまいました。

 その経緯を書いた手紙と、里海誌を藤田さんに送りましたら、以下のご丁寧なお手紙を頂戴しました。公開OKの確認が取れましたので、お礼の挨拶と誤記など最小限の訂正をしたものを掲載いたします。なお、お手紙に書いてある、お贈りいただいた、丸山博編著『内発的発展と地域社会の可能性』(2006年、法律文化社)については、別記ブログ記事にて写真入で紹介いたします。(木頭村は、平成の大合併で「那賀郡那賀町」になりました。また上記写真は、㈱きとうむらのサイト中の「木頭村はこんな村です」からお借りしました:同サイトには徳島県内の旧木頭村のアクセス地図ものっています。)

 By MANA(なかじまみつる)(C)

 「デジタル峠」と「無駄な公共事業」の話がとても印象的でした。藤田さんからのお手紙はつぎのとおりです。

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2007年2月 6日 (火)

利権への布石がはじまっているのだろうか?

政治力学のハザマで動くものとは

 友人で、もと参議院議員政策秘書をやられていた田中信一郎さんから、「今なぜ海洋基本法なのか?」の記事を読んで、個人メールにおたよりを頂戴しました。とても適切な指摘を含んでおり、ブログでの転載をお願いしましたら了解していただきました。田中さんは、政治の実践舞台での経験を糧に、現在大学院で、「政策決定過程」の研究を専門にされています。(中島 満)

 ご無沙汰しております。田中信一郎です。ブログ拝見いたしました。

 政策決定過程の研究者の目から見ても、非常に的確なご指摘だと思います。

 特に、中島さんは、「基本法」が議員立法でやられることの不思議さを指摘していますが、ここは非常に重要な点だと思います。

 原則として、各省庁は、つくりたい法律について、議員に依頼して立法するよりも、内閣提出のやり方を好みます。なぜならば、議員立法に比べて、内閣提出法案の方が、官僚にとって不確定要素がはるかに少ないからです。

 それでも、省庁主導で立案した法案を議員立法にしようという今回の様なケースが、まれにあります。(審議会の答申や海洋開発法案などがあることから、実質的には国土交通省、つまり旧建設省が立案作業をしているのは明白です)

 その理由は、内閣提出法案は、全省庁の賛同を必要とするからなのです。(これを担保しているのが、閣議前に開かれる事務次官等会議です)

 つまり、他省庁の賛同を早期に得られる見通しがない法案を、省庁間調整を回避するために、議員立法に持ち込むわけです。

 当然、他省庁も族議員を通じて、反対の働きかけをしますが、いまだに実力を有する建設族と、落ち目の農水族では、力の差があります。

 しかも、旧運輸族の賛同も得ているのでしょうから、農水族、それも水産族は、十分に太刀打ちできないでしょう。

 さらに、一見、宣言法として曖昧にし、民主党も賛同の動きを見せているとなれば、自民党の水産族議員たちは非常に反対しにくいはずです。

 最終的には、何らかの覚書(秘密協定)が国土交通省と水産庁との間に交わされて、決着するように思います。

 国土交通省の狙いも、中島さんのご指摘どおりだと思います。

 要は、海洋開発の主務官庁を国土交通省にすることが、当面の目的なのだと思います。旧建設官僚と旧運輸官僚のタッグという印象も受けます。具体的な利権への布石とも言えるでしょうか。

 いずれにしても、水産庁や環境省にとっては面白くないものでしょう。

 結局、議員立法というのは、政府内の不協和音を示しているのだと思います。

田中 信一郎(明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士後期課程/元参議院議員政策担当秘書)

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2007年1月18日 (木)

カキで海や川を浄化しよう

マリンガーデニングを実践

 海の『守り人』論やMANAが出す漁業権関連出版物の著者で、東京湾で海辺の環境教育を実践している田中克哲(NPO「ふるさと東京を考える実行委員会事務局長」)さんからカキで海水や川を浄化しようというマリンガーデニングの実践活動についておたよりがありました。下記に転載します。

  • 田中克哲さんからのおたより

いつも大変お世話になっております。
寒さが一段と厳しくなっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ふるさと東京を考える実行委員会は、そんな真冬の寒さにも負けず、カキの成長調査、東京の水辺探検、その他様々なイベントを意欲的に行っております。子供たちはたいへん好奇心旺盛で、最近では定員をオーバーするほどの人気ぶりです。

さて、このような地道な活動が、1月12日の東京新聞朝刊に掲載されました!記事をリンクいたしましたので、是非ご覧下さい。

また、1月25日(木)のNHKラジオ夕刊(NHKラジオ第1放送 午後6時~6時50分)では、理事長の関口雄三が生放送の電話インタビューに答えます。関口のインタビューは、6時20分頃となっておりますので、お時間がございましたら是非お聴き下さいませ。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

**************************
NPO法人ふるさと東京を考える実行委員会事務局長 田中克哲

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2006年12月 1日 (金)

里海から地域の仕組みを考える

人と自然のかかわり利用するから守る、守るから利用が続けられる

 「関いずみ」さんから次のような[季刊里海]創刊号を読んでの「感想」のおたよりをいただきました。

私は、漁村の地域を維持する仕組みとして、「環境社会システム(「環境」と言う言葉が云々というのはちょっと置いておくとして)」ということを考えてきました。

例えば漁村を考えたときに、漁村では、漁業という基本的に自然から採取することで成り立つ産業を核として、経済が成立し、そのことで生活が保たれる。海の生物は自然界が創り出す「天の恵み」なので、漁業が成立し継続していくためには、生物が再生される自然環境が維持されることが絶対条件となる。

漁村地域の人々は自分たちの生活の基盤となる漁業が自然からの恩恵によって成立していることを認識し、行事や信仰の中で自然への畏怖と敬意の念を表現してきた。

また、季節や地域毎に異なる自然条件に漁労形態を合わせて生産をあげる工夫が凝らされ、地域の自然の循環を妨げないような努力もなされてきた。近年、森林と沿岸域との関連が改めて見直され、漁業者が率先して荒廃した森林に樹木を植える運動を行っているが、このような活動は漁業という人間の生産活動が自然界のシステムの中で営まれ、自然環境が保全されて始めて人間の諸活動も成立すると言う認識を具体的に示している一つの例だと思う。

もちろん、産業の効率化や生活の便利さを求める余り、あらゆる環境が改変され、そのことが結局地域の自然を破壊している例はいくらでもある。けれど、結局そのことは、最後には環境汚染やそれに伴う様々な弊害となって人間に戻ってくる。

つまり、人がその産業や生活を維持しようと思ったら、これら人間の行為を支えるために利用する自然を、(その利用を継続させるために)きちんと守ることが大切で、そういった人と自然との互酬性(利用するから守る、守るから利用が続けられる)ということが、地域を維持する仕組み(つまり環境社会システム)なのだと考えてきたわけです。

それぞれの地域で、どこにどれだけ重点を置くか、例えば、より産業振興をめざすとか、環境保全と言うところを重めにするとかいうことが、これからの地域がどういう姿になるのかというところに大きく関わってくるのだと思います。

地域のあるべき姿(構想)については、地域自身が選択権を持っている。重要なのは、どれかを重んじるあまり、他の要素が崩壊してしまったら元も子もない、ということを、みんなが認識して、時には活動に規制をかける勇気を持たなければならないということではないでしょうか。

本誌で、柏島の神田さんが示されている、便利な暮らし←→里海←→環境保全という仕組みは多分非常に類似した考え方ではないかと思うのですが、人と自然を結びつける要素として里海(ゆれうごく里海)というものが明確に挙げられることで、人々の生活と自然との関係がより具体的なメッセージとなって届けられていると感じました。それはおそらく、神田さんにしろ金萬さんにしろ、実践を通してものを見、考えている方だからこその、「実体あるメッセージ」なのだろうな。

関いずみ((財)漁港漁場漁村技術研究所 海とくらし情報室)

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2006年11月16日 (木)

コモンズの「観光的利用」って?

『村落共有空間の観光的利用』池俊一著がまもなく発刊されるそうです

コモンズの「観光的利用」について

「ローカルルールの研究」の著者の一人でもある池俊一先生(早稲田大学教授)が、学位(博士)論文を元に『村落共有空間の観光的利用』(風間書房)を出版されるというお便りをもらいました。

[季刊里海]創刊号の特集2「海は誰のものだろう?」を読まれて、同特集を「拝読しましたが、重要な論点が的確に提示されており、大変参考になりました。来週あたり拙著『村落共有空間の観光的利用』が刊行の運びとなりますが、座談会での議論は拙著の内容と重なる部分も多く、拙著もまんざら的外れな内容ではなさそうですので、少々安心いたしました。」というお葉書の内容です。

 座談会という、そうとうにフリーな立場で、ある意味では放談しているからこそ、問題点に迫ることのできる提示機会になるという編者の意図を理解していただき、「こちらこそ、そうなんですよ、ありがとう」とうれしい瞬間です。ひとつかみに「コモンズ」というとらえ方をするよりも、日本のいろいろな地域社会でおきている、そして起きてきた現実的な実体を、ボーダレスな見方で、それぞれでフォーカシングしていくことが、今は大切だという気がしていますから、こういう視点の著作は、とても大切なのだと思います。

里海を考える視座のバリエーションがふえました

 ということで、送っていただけるそうなので、いまから読むのがとても楽しみです。池先生には「ローカルルールの研究」において、第4章「伊豆半島大瀬崎におけるダイビング観光地の発展」(有賀さつきさんと共執筆)を担当していただきました。同論文の内容も含まれ、地理学のジャンルにおける「共有空間」を、いわば「コモンズ」として位置づけ、LR的用語でいえば「入会的利用」と「市民的利用」を「観光的利用」として、「漁業的利用」の延長線上で現代の沿海域の地域社会が生き残りを図るための智恵を提供するための「理論化」をはかったというような意義があるのだと思います。

 これで、また「里海」を考えるための視座のバリエーションが一つ増えた感じです。

 本が届いたらMANAによる感想=メモ(学術論文なんで、「書評」を書ける立場にはとうていなさそうですから)をぜひ書きたいと思います。

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2006年11月13日 (月)

海と市民の連携をはかろう!

釣り文化協会の來田さんからのおたより

創刊おめでとうございます。

NPO法人釣り文化協会代表理事の來田 仁成(らいたひとしげ)といいます。釣り文化協会は、公認釣りインストラクターを中心に構成されている釣り人のボランティア組織です。

大阪市立「大阪南港魚釣り園」の運営を受託しているほか、今年度は内閣官房都市再生本部の要請で「都市再生モニタリングシステム」の一環として大阪湾水質調査を実施しています。
チヌ(クロダイ)釣り愛好者が「落とし込み」という釣り方で防波堤の直立護岸でチヌを釣る場合、例年8月20日前後に、付着したイガイが剥落し、それとともにその釣り場のシーズンが終わるとされていることに着目し、それまで沖合いでのみ調査されていた水質を「釣り人の手で」実際に現場をしらべ大阪湾の実情をつぶさに調査し、これをもってもともと海に関心の強い釣りはずの釣り人の間に、ムーブメントを浸透させたいこころみです。
昨年度、第1回の調査を行い、シンポジウムを開いて話題となりました。

釣り人が海辺の生きものを観察することにより、ある程度青潮現象の予知も可能となりことしは、こうした調査の一部がテレビ朝日で11月4日25時30分から「海の悲鳴」というタイトルで紹介されました。水質調査にはダイバーグループも協力してくれています。
(社)全日本釣り団体協議会 http://www.zenturi-jofi.or.jp は水産庁を主務官庁とする釣り人団体で、小生は、専務理事を兼務しています。

今後、貴誌との連絡を密にすることで、海と市民の連携を促進できると思っています。

……ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。「釣り文化協会」は、法人化の前は、名著として歴史に名を残した「釣り文化」という雑誌を発行していました。私の手元にも、古本屋さんで購入した3冊があり、編集主幹兼発行人だった甲山五一さんが取り組んだ近世水産・魚貝生物誌の翻刻・現代語訳を連載した号のコピーをファイルして利用しています。中でも、文化の頃に国学・歌学者だった小林義兄が記した「湖魚考」を載せた「釣り文化」28号・1992年~は、琵琶湖の生物誌を知るうえで非常に貴重な仕事であり、現代も研究者ばかりか自然好き、魚好きの市民に読み継がれています。

 そのような、伝統を引き継いだNPO団体「釣り文化協会」の來田仁成さんから、里海誌に言及していただけたことは、とても光栄に思います。(中島)

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2006年10月28日 (土)

里海の白鯨―長谷部文孝さんからのおたより

[里海随筆]「山椒魚の故郷」の著者、長谷部文孝さんから「[里海]創刊、おめでとう」と、次のようなおたよりをいただきました。長谷部さんは、「さかな」という俳名で俳句の創作を続けられています。俳名の由来は、サラリーマン時代のお勤め先が、水産会社「宝幸水産」(現在は、日本ハム系列の「宝幸」という会社に名前が引き継がれています)。海外漁業や水産と関係の深い仕事を定年退職され、俳句にちなむ本誌掲載の随筆「山椒魚の故郷」で、平成10年、第4回「岡山・吉備の国―内田百閒文学賞」(財団法人岡山県郷土文化財団主催)を受賞(随筆部門・最優秀作品)されています。

長谷部文孝さんからのおたより

 里海随筆として「山椒魚の故郷」を掲載していただきありがとうございます。徳永 功さんの写真・イラストはいいですね。少年のころ、暮らした里山を思い出させてくれます。

 実は、最初に中島さんからお話をうかがったとき、山椒魚と里海がどうかかりあうのか、よくわからかったのですが、実際に雑誌を読んでみると、それほどミスマッチでもないようです。しかし、それにしても、里山と里海を結びつける必要が私自身の内部にあります。また、里海の随筆を書くことが元水産会社社員定年退職の私の使命でもあるような気もしてきました。

 そこで思いついたのは、「里海の白鯨」というテーマです。私が水産会社に勤務する強い動機になったのは、メルヴィルの『白鯨』です。

   白鯨を追って歴史の涯の海

 小笠原へクジラを観に行ったとき、洋上句会でこれを投句しました。俳句としての評価は疑問ですが、私のデビュー作であり、生涯のテーマでもあります。

 ただし、そのとき(平成五年)は、白鯨の落着先(永遠に憩う海)がわかりませんでした。もちろん、エイハブ船長のように、戦って共倒れにはなりたくありません。

 結局、里海の白鯨ではないか、と雑誌を読みながら思いました。だんだん、イメージがふくらんできます。(長谷部 文孝)

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2006年10月26日 (木)

待ちに待った創刊号、懐かしい大瀬、盤洲が掲載され、心が躍りました

 創刊号の発送も予約者第1陣がおわり、読者の皆さんの声が個人メールで寄せられています。ほんとうに皆様ありがとう。そのなかから、了解をいただけたかたからブログ通信にぽつぽつと載せていきます。(MANA)

創刊号を受け取って―おたより

Osenomori 待ちに待った創刊号。懐かしい大瀬、盤洲が掲載され、心が躍りました。大瀬はダイビングスポットになる以前、富士山を望む質朴な里でした。大瀬の岬に古社があります(写真:大瀬神社 Pfoto by MANA)。境 内はビャクシンの大樹が群生しています。ビャクシンの純林の社叢林は国内でここただ一カ所。とても貴重な遺産です。岬には中世、水軍の館の遺構があります。ビャクシンは恐らく、大きく育てて水軍が船材に利用したと想定されます。ぐるり海なのに真水の池もあります。ビャクシンの森と照り映えのいい常緑広葉樹の森が混淆して、中世では大瀬一帯、入り江の海を含めて神域だったのでは思われます。ダイビングスポットにはかつて、マダイが群れ、よく夜釣りに通いました。ダイバーが多く入り、かつての海も地域の人情も様変わりしたようで、なんとなく足が遠のきがちです。「海は誰のものか」を読み、裁判の意義を改めて考えさせられました。
 盤洲の浜は小櫃川河口域が一級の自然遺産です。かつて広大な干潟にはコアマモが群生し、豊かな干潟の生態系がありました。干潮帯の沖にアマモ、干出した干潟にコアマモがある。これが東京湾の干潟の風景でした。アサリのまき漁で砂地を掘り返すため、コアマモはほぼ壊滅しました。でも、ここで漁業が営まれている。漁師が生きている。そのこと自体に大きな意味があります。漁師こそ海の守り手。江戸前の海を実感できるのは東京湾で盤洲を含めてごくわずかになりました。「里海」、頑張れと声援を送ります。《神奈川県のT・Kさん》

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2006年10月20日 (金)

秋道先生からのメッセージ「日本の海が泣いている!」

秋道智彌先生からのメッセージ

Photo編集子が尊敬する、総合地球環境学研究所教授の秋道智彌先生に、[季刊里海]創刊号のデモ版を読んでくださいとお願いすると、快く受けていただきました。そして、ほんと うに忙しいスケジュールの中で読んでいただき、18日夜、メールで、涙が出るほどうれしい[季刊里海]創刊にあたって、とするメッセージとコメントをいただきました。秋道先生、ほんとうにほんとうにありがとうございました。

日本の海が泣いている。みんなのものであった海を分断し、破壊したのはほかでもない近代という二文字であった。この二文字を波のごとく洗い流す新たな思想の核として里海が登場した。本書([季刊里海])がやがて大きなうねりとなって日本の浜辺をうずめ尽くすことがこの21世紀の日本の課題だ。そこにほんとうの美しい日本が見えてくるのではないか。

先生から、「思想」の核として、私の「里海」を位置づけ、考える視点を表現していただいたことは、このうえない喜びであり、編集者冥利に尽きます。

高知県柏島・黒潮実感センターの神田優さん(私が「柏島モデル」と名づけた里海運動の活動を展開しています)や、千葉県木更津で盤州里海の会の代表・金萬智男さん(同じく「盤洲モデル」)の里海・海めぐりの里づくり活動の特徴は、「里海」を利用する主体が論じられることによって、地域と地域外の市民との「交流」によって、「里海」が「自然と労働」のかかわりによって創出される「めぐり」の「場」にしていこうという明確な位置づけを示してくれたことでした。

先生は、この点についても、「里山、里川もあります。里海から里山や里川に視点を移す里海の路線とはちがう点を出していくことも、幅広い読者を獲得する戦略だとおもいます。そのためには、里山・里海を統合するキーワードもこんご必要となるでしょう。それを考えたとき、「環境」というキーワードではなく、「めぐり」がキーワードになるのでしょうね。」というような印象を含めてメモにしてくれました。里山や川や森と水、農や食についての記事も「めぐり」の視点によって掲載していくつもりです。(MANA:なかじまみつる)

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