2009年12月15日 (火)

舞鶴からのREIKO’S REPO「世界健康フォーラムに参加して」

舞鶴からこんにちわ!!

中村禮子さんからお便りをいただきました。

「先日(25日)、京都で第30回世界健康フォーラムが国際会議場でひらかれ、参加してきました。大変良いお話が聞けたので、と文章を書きました。食、体、心のハーモニーという、コンセプトが気に入りました。
夫は8月からの世界一周航海が終わり、中旬に帰ってきます。私はJICAのシニアボランテイアーで来春からモロッコに2年間赴任することになり、1月からの研修を前にフランス語の勉強を始めておりますが、なんとも脳が固まっているもので、大変です!」

添付ファイルのレポートを載せておきます。このフォーラムは、1月10日のNHKで全国放送されるので、その事前紹介レポートとしても簡潔に記され、「健康な心」からつくられる社会文化の大切さを考える機会になればと考えました。

《舞鶴からのREIKO’S REPO》

世界健康フォーラムに参加して

……中村禮子

 真っ赤な紅葉が彩を添えていた京都国際会館のメインホールで、NPO法人 世界健康フロンテイア研究会が主催する第30回世界健康フォーラムが開催された。それは世界保健機構(WHO),武庫川女子大学国際健康開発研究所が共催し、国連教育科学文化機関(UNESCO)、NHK,京都府、京都市、朝日、日本経済、京都の新聞各社などなど多くの団体の後援を得ての、大変大きなイベントであった。

 そのテーマは「世界の健康は食文化から」<寝たきり長生きから健康長生きへ>ということであった。参加者数は2000名を上回り、その9割方が女性であった。昨年の参加者は2700名で女性91%、男性6%で、年齢構成は60代34%、50代29%、40代18%、70代13%、30代4%、20代2%であり、その53%は主婦ということで、健康に感心を持つ人々のことが伺える。平日の昼間の開催ということも大きな要因である。

 なお、このフォーラムについては来年1月10日に、NHK教育テレビ、日曜フォーラム(18.00~19.00)で放映予定である。

 WHO西太平洋地域事務局長、尾身茂氏の講演、UNESCOからのメッセージ、WHO国際共同研究からのメッセージに続き、オーストラリア先住民の方によるアボリジナルの生活習慣病の現状と栄養によるリスクの軽減の研究発表や脳科学者の茂木健一郎氏の記念講演があった。脳科学の最新の研究結果で大変興味深いお話があったので紹介したい。

 私たちの脳には、最近分かってきたこんな特性がある。一言でいうならば、脳とは楽観的に生きないと活性化されないというのである。それはこれから起こる不確実なことに対して、人がどう感じるかが問題のようだ。つまり、これから起こる不確実なことに対して、不安を持つと脳は対応ができないので、不活性となるが、それをわくわくと楽しみに考えることにより、脳が活性化されるというのである。脳には本来そのような能力が備わっているそうである。

 それは、楽観的に考えられる人の心の中には安全基地が存在するからだそうだ。この安全基地とは子供の時にはその所在は親であるが、大人になると安全基地が本人の中にできてくるのであるが、不安に思う人はそれが十分にできていないということであった。しかし、諦めてはいけない。過去の記憶を見つめて、安全基地を育てることができるのである。そういえば、たくさんのことを経験している人はしていない人に比べると、これから起こることに対しての予測が可能になり、楽観できるからであろうか、そんな気がした。

 また、笑いとは人生における辛いことと悪いことをプラスに変えていくように作用するというのだ。何か大事なことを教わった気持ちになった。そういえば、ヨガで笑いというのがあり、大声をあげて笑うその業はそういう効能を知ってのものであった、と思うとインドの先達を敬服したい。

 脳の健康と体の健康は相関関係が大変大きく、美味しいものを食べることは脳にとっての栄養になるとのことだ。それは美味しいと思って食べることにより、脳が快感を感じると出てくる脳内モルヒネともいわれている物質、ドーパミン、セロトニン、βエンドロフィンなどが分泌され、より快感になる。また、一人で食べるよりも誰かと一緒に食べることにより、より美味しく感じられることは誰もが経験していることであるが、それは人間の脳の前頭葉(額の部分)にミラー(鏡)ニューロンという神経細胞があり、これが相手のしていることを自分がしていることのように感じる共感回路が活性化されるからであるという。さらには、脳をその気にさせるプラセーボ効果(思うことによってそのようになる)もあるという。だから、「病は気から」という言葉も科学的に実証されているようだ。そして、過去を育て、ユーモアのセンスを持って、楽しむ人生が素晴らしいことで、それが長寿につながるという最後の言葉でしめくくられた。

 その後、ミレニアムフォーラムとして、「寝たきり長生きから健康長寿へと」と題して、千葉商科大学教授の宮崎緑氏がコーディネーター務め、毎日走っている茂木健一郎氏(脳科学者)、黄な粉、ジャコ、大根おろしを入れたカスピ海ヨーグルトと和食を毎日食べている家森幸男氏(予防栄養医学者・健康フォーラムのオーガナイザー)、ラジオ体操を毎日して、歯の健康を気遣い、すべての歯が健全な横山清氏(日本セルフサービス協会会長)、京大のマサイといわれ、毎日8km走り続けている森谷敏夫氏(運動生理学者)、泳ぎと料理を楽しむ梅原純子氏(診療内科医)の各氏がパネリストとなり、パネルディスカッションが行われた。

 実はここに書かれた各氏がされていることは自分の健康法ということで、各氏が冒頭で述べられたことである。健康を保つための努力は、人それぞれにより行われているが、ここではそれぞれの専門分野からの視点に基づいての活発な意見交換が行われた。

 現代人は、昭和50年頃に人々が摂取していた一日の平均カロリーよりも300カロリーも少なく摂取しているのに、なぜ肥満や高血圧などの生活習慣病が多いのか。その理由は、生活が便利になったがために消費するエネルギー量が少ないからである、と単純明解な答えである。昔はもっと生活の中で体を動かすことが多かったことは身に覚えがある。

 さらに、エネルギー消費量の個人差も大きく、こまめに動く人、活動量の多い人はカロリーの消費量が大きいうえ、そういう人は基礎代謝量(何もしないでも消費するカロリー)も大きいそうだ。座るよりも立つ方がカロリー消費が20%増え、歩くとそれが3倍になる。階段を歩くと平地を歩く時の5倍のエネルギーを消費でき、これは安静時の10倍である。だから、日常の何気ない生活の中で、いかに心がけが必要であるかが良く分かる。もちろん運動ができれば、それがベストであろう。

 世界で一番の長寿を実現してきた沖縄からの移住者は、ハワイに移住した人々の中でも、大変健康で長寿の人が多いことが知らされた。それは沖縄の食習慣を持続した結果、高血圧の原因である食塩の一日平均摂取量が日本人の半分である6g、熱帯の豊かな果物により、病気のもとである活性酸素を抑える働きをするビタミンEの摂取量が多く、認知症が少ないことなどが要因である。大豆、魚、野菜をたくさん食べ、バランスの良い食事をしていると説明された。亜熱帯の気候もさることながら、みんなで仲良くいろいろなことを楽しんでいるということも大きな要因であり、元気で長寿の世界を覗くことができた。

 脳を活性化するには手先の細かい動きをすること。細かい家事のような面倒なことをすることが、より脳を活性化させることも知った。そして、脳を使う最良なことは体を使うこと、運動を含めてということである。さらに、自分の生き方をどう変えるかということが重要な課題である。それは何もしないで老いるか、喜びと楽しみを加えて老いるかが、自分の人生の鍵を握っている。分かっているようでも、こうしてはっきりといわれると、より心の中に定着する。

 パネルディスカッションの結論は野菜、魚、大豆をバランスよくとるというように、食べ物への配慮、運動をすることにより体を丈夫にすること、そして、心を楽しくすることで、食、体、心と大きな三つの要素が互いに関わりあってより良い健康が保たれるということで、それを心に深くとめることができた。帰りの地下鉄は率先して階段を利用して、ポジティブマインドで未来に対して楽観的に生きようと、軽やかな足取りになった。

(2009年12月4日記)

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2008年1月 4日 (金)

里としての海を考えるシンポジウムが開かれます

「里としての海を考えるシンポジウム」が開催されます―漁業者と市民との意見交換を期待します

昨年末に表題のシンポジウムの案内が送られてきました。主催は、JF全漁連と「海と魚と食を考える会」で、水産庁の委託事業「環境・生態系保全活動支援調査・実証事業」の一環で開かれるものですが、主催者事務局は、漁業関係者だけではなく、ひろく海に関心を持つ市民の方々の参加を呼びかけています。

開催日時は、新年1月19日(土曜)午後1時から4時まで。会場は、虎ノ門パストラル5階「ミモザ」です。

里としての海を考えるシンポジウム実施要領PDF

参加招請の範囲に漁業水産関係者という文字がありますが、事務局では、官費事業のかかわりから書いているだけで、ぜひとも、広い海好き市民の参加を期待したいということです。参加人員が150人と限定した部屋のため、PDFに含まれる申込書にご記入の上、MANAあてメールでも、FAX(03-3319-3137)でも送っていただければ、事務局にMANAから連絡をとります(勿論事務局に直接でもOKです)。

基調講演に、里山や森と人間との大切なつながりを一貫して論じ続けてこられた哲学者の内山節さんを招いたことにも、沿岸漁業のこれからを考えるときに、沿岸域と地域社会、あるいは市民との連携プレーを以下にはかりながら、海という自然域の持続可能な利用と管理をはかろうという、新たな取り組みにチャレンジしようという姿勢が現れているということなのでしょう。

内山さんは、講演のタイトルを、「里海へのメッセージ」とし、実施要領に、次のように書いています。

海を生産と営みの場だと考える人々の結び付きを、新しくつくりだしていく試み、おそらく問われているのはそのことなのであろう。それは漁民だけのものではないかもしれない。漁村とともに暮らす人々や、永遠の漁業を保証したいと思う都市の人々をふくめて、共有された世界としての海をみつめなおす。そのような試みのなかから、私は新しい協同の世界はつくられていくのだと思う。海をまもる協同的な取り決めや行動、新しい慣習が、ここから生まれていくのだと思う

「海をまもる協同的な取り決めや行動、新たに生れる慣習」の必要性を指摘し、「共有」と「協同」の世界を作り出すこころみを、はじめよう、と訴えているのです。沿岸漁業界だけで、自分たちだけの社会や経済の発展や維持について期待し論じる時代は、もはや終わったともいえましょう。また、そのようなことの期待の実現は、もはや不可能でもあるのです。

その意味で、今回のシンポジウムは、「持続的な漁業活動」を続けていくために、市民を協力者としていかに地域概念や経済概念に取り入れていくかが問われているという意味で、「協同」あるいは「協働」という考え方を「共有」という考え方のもとで、どのように実現して、「これから」につなげていくかを、「考える」シンポジウムという位置づけができそうです。

シンポジウムのパネラーには、松田治さん(広島大学名誉教授)、加瀬和俊さん(東大社研教授)や金萬智男さん(漁師、盤州里海の会)、足利由紀子さん(大分佐伯の水辺に遊ぶ会)、乾政秀さん(水土舎)など、里海活動実践者と意欲的研究者等が参加しています。

また、そのように、意見交換が前向きにされることを、期待したいと思います。短時間で論じられる範囲は限られるとは思いますが、その一歩を進ませる「芽」が生え出てほしいなあという気がします。

全漁連内に同事業の報告媒体としての「里海通信」でも案内していますが、MANAとしても、開催趣旨に賛同し、ホームページ、ブログを通じて参加を呼びかけております。水産庁や全漁連においてもすでに「里海」としての漁村や沿岸漁業地域の活性化を図ろうと、従来の漁場保全という観点から、さらに一歩も二歩も踏み込んで、生態系保全や再生活動の支援などの、広義の漁業漁村活性化対策にとりかかったということだと思います。

MANAも、討議内容のとりまとめなど、微力ながら協力していくつもりですが、ぜひ、当ブログや、MLへの案内を通じて、興味、関心のある方、一言もの申したい方は、ぜひ参加されることを期待しております。(MANA:なかじまみつる)

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2007年9月 3日 (月)

『海洋観光立国のすすめ』が発行されました

中瀬勝義・明戸眞弓美・庄治邦昭共著

『海洋観光立国のすすめ』(七ツ森書館)が発刊されました

Syohyou070815nakasekaiyoususume 中瀬勝義さん。エコライフコンサルタントの中瀬さんは、いつも、自転車で日本中を駆け回っているエコサイクルライダーです。そんな自転車好きの中瀬さんの、僕にとっも関心の深い、もうひとつの顔が、東京湾内の海辺づくりについての情報を取材して、「お江戸舟遊び瓦版」(もう通巻41号になりました)のニュースレターや、お知らせを発信し続けている行動派の市民ボランティアーとしての姿です。

その中瀬さんが、日ごろから主張をされているのが、「日本の海をもっと生かそうと」いう「海洋観光立国」構想です。その構想をわかりやすく、ブックレットスタイルで手ごろな価格で、とても読みやすい内容の『海洋観光立国のすすめ』を七ツ森書館から出版(定価900円+税)されましたのでお知らせします。

もう1ヶ月以上も前に、お贈りいただいていたのだが、夏の暑さと忙しさに発行の紹介を遅らせてしまった。

サブタイトルに「持続可能な社会つくり」「こころ美しい日本の再生」とあります。第1章:いま、なぜ海洋観光立国か(中瀬勝義)、第2章:海とスロー・ツーリズム・ジャパン(明戸眞弓美)、第3章:海外にみる海洋観光と都市の賑わい(庄司邦昭)の構成です。

中瀬さんは「はじめに」のなかで「この日本の周囲にひろがる海を新しい観光資源として展開することで、日本は海洋観光立国に転ずることができるのです。東や南に広がる太平洋で、かつてのバスコ・ダ・ガマの大航海時代を体験する観光ツアーやコロンブスのアメリカ大陸発見のイメージ体験冒険旅行やタイタニック号の北大西洋航海旅行を体験したり、マリンスポーツを楽しんだり、一日中海浜のホテルでゆったりと過ごしたりすることを、世界中の人びとに提供することが可能になるのです云々」と書いています。と同時に、江戸時代のような、世界でもまれな循環型ライフスタイルの達成された国であるのだから、「近年の大量生産・大量消費・大量廃棄に乗ったライフスタイルから脱却」し、「今後数十年、数百年かけて江戸時代を参考にエコライフ国家を作り上げ」ようと、提案されています。

今年になってから施行された「観光立国推進基本法」や、先の通常国会で議員提案で成立した「海洋基本法」が7月末の海の日に施行されましたが、そのような動きの中で、本書の刊行はグッドタイミングにちがいありません。海とは何か、海を利用するとは何か、エコライフとは何かを考えるきっかけにしてもらえればとおもいます。

ここまでは、中瀬さんたちのご努力に敬意を表して、本書の推薦をしました。でも、MANA自身としては、海と付き合うときの考えや、海を利用するというときの考えは、ちょっと異なった視点を持っています。以下(続き)に書きましたから、こちらもよんでね。

MANA:なかじまみつる

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2007年7月28日 (土)

いすみ染め百選展のおしらせ

「いすみ染め」百選展のご案内

 MANAが編集した「海の『守り人』論」の共著者でもある、元東京海洋大学教授、水口憲哉さんが企画して開かれる「いすみ染め百選」展が、今日、27日から8月5日まで、いすみ市内の会場で開かれています。夏休み、房総旅行にいきながらよってみてはいかがでしょう。

具体的には、「MANAしんぶん」TOPページから、「味な展示会」をご覧ください。

 開催場所:房総わだつみ美術館 いすみ市岬町江場土2761

 電話:0470-87-7630 

http://www.manabook.jp/hama-bangai-nhksatouminosiki.htm

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2007年6月 6日 (水)

NHK「里海の四季」と「漁業就業者フェアー」

おしらせ―NHK「里海の四季―伊勢湾・答志島」、と「漁業就業者フェアー2007」

ブログも更新しないで1ヶ月以上たってしまいました。なぜか「海洋基本法」に関するアクセス数は今も結構な数が継続しております。知らぬ間に、こんな地味なブログでも1万の大台を超えているのに気付きました。肝心の「里海」発行がぐずぐずしているうちに、もう夏の季節を迎えてしまいました。

この1週間の間に、二通の里海関係の、企画案内が届きましたので、ブログとMANAしんぶんにお知らせのご案内をいたしますので、関心のある方はご覧ください。

●お知らせ―その1

Nhksatoumi NHK津のMディレクターさんから、6月17日(日)総合TV放送の「里海の四季―伊勢湾・答志島」17:00~17:58が、なかなかに面白そうです。答志島といえば、「寝屋子」制度が続いている島で知られています。ちょっとまえにも、NHK「釣瓶の家族に乾杯」で2週にわたって答志島が取り上げられ、「寝屋子」制度のことが全国に向けて流れたので、ご存知の方も多いでしょう。学校に入る年齢になると、実の親とはまた別に「寝屋親」のもとで一定時間をすごし、結婚年齢に達するまで、実の家族と寝屋親の家族と二人の親の元ですごすことになります。青年宿とも共通した習慣ですが、親に相談できないことでも、寝屋親には相談できたり、寝屋子仲間同士での血族以上の結びつきを築きます。意味の説明など不要でしょう。こういうつながり、地域のシステムが残る答志島のさまざまな出来事の映像が「里海とは」を全国の人に伝えてくれるよい機会になりそうです。わざわざ、MANA宛にきれいなはがきを送っていただき、恐縮し、画像ツキのお知らせとなりました。

MANAしんぶんのページにも載せてあります→HERE

●お知らせ―その2

「漁業就業支援フェア2007」/「漁業チャレンジ準備講習会」を6月~8月開催するそうです。その案内文がメールで届きましたのでご案内します。漁師になりたいと考えているひとや、漁業のことを知りたい方、東京・大阪・広島・仙台・福岡で開催されるそうですから、これを機会に出かけてみてはいかがでしょうか。新しい出会いや、自分の可能性発見があるかもしれません。

●ご好評につきまして、今年度も全国漁業就業者確保育成センター及び大日本水産会、全国漁業協同組合連合会では水産庁の支援のもと、事業の規模を拡大して実施することとなりました。
今年度は「漁業でチャンスをつかめ!キャンペーン」として、

『漁業就業支援フェア2007』(全国5ヶ所7会場)及び『漁業チャレンジ準備講習会』(座学:全国14都市、体験:全国10地域)を開催致します。

●開催内容は、MANAしんぶんのページに載せておきましたのでご覧ください。

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2007年2月23日 (金)

デジタル峠を越えて(藤田恵さんからのおたより)

元木頭村長の藤田恵さんからお便りをいただきました

 2月14日、衆議院議員会館で開かれた「川を住民の手に! 国会シンポジウム」(主催:「公共事業チェック議員の会」、「水源開発問題全国連絡会」)に参加してきました。淀川流域委員会の休止など、平成9年河川法等の改正(公共事業関連法の流域関係地区住民の意見を反映させる環境への配慮のための公聴会設置などの条項が盛り込まれました)後の、河川行政に住民意見を反映させていこうという方向は、一時の取り繕いであったのかとおもわざるを得ないような対応が表面化してきています。

Kitomura  実は、河川行政の「環境への配慮」や「持続可能な開発」という時代の流れに逆行するような方向と、「海洋基本法」制定の動きとが、連動しているような気がしています。そのことについて整理をして書いたのが「今なぜ海洋基本法なのだろう?」ということであったのですが、海と川とのかかわりを考えてみよう、という提案もあって、同シンポジウムの参加団体の広報用チラシを置くテーブルの片隅に[「川を住民の手に!」07.2.14シンポジウムに当たって考えたこと―海洋基本法の思想と河川法行政について―]の短い資料を40枚ほど用意し、担当者の許しを得て置いてみました。帰りには、すべてがなくなっていましたから、40人の手にはわたったということでしょう。そして、それを読んだ方からご丁寧なメールを4人の方からいただきました。

 ところで、このシンポジウムに参加して、わたしの隣の席に偶然座っておられたのが藤田恵さんでした。ぼくは、どこかで見たお顔と、名前だなあと思いながらも、気軽に話しかけてくる藤田さんに名刺を差し出して挨拶をして、はずかしながら上記資料の話をしました。会議司会者から、藤田さんが、紹介されました。そのとき初めて、その方が、「脱ダム」の実践をされ、「脱ダムから緑の国へ」の著者であり、「木頭村ダム建設阻止条例」を制定された元木頭村村長の藤田さんであることを知りました。

 家に帰ってから、「木頭村ダム建設阻止条例」にある前文「村に巨大ダムはいらない。村は、将来の村民のためにも、これからも美しい森と清流と共に生きていくことを自治権の主体として選択する。」をはじめ、もう一度、条例内容と、本棚につんどく状態にあった「脱ダムから緑の国へ」をあらためて読み、すっかり藤田さんのファン(勝手に失礼)になってしまいました。

 その経緯を書いた手紙と、里海誌を藤田さんに送りましたら、以下のご丁寧なお手紙を頂戴しました。公開OKの確認が取れましたので、お礼の挨拶と誤記など最小限の訂正をしたものを掲載いたします。なお、お手紙に書いてある、お贈りいただいた、丸山博編著『内発的発展と地域社会の可能性』(2006年、法律文化社)については、別記ブログ記事にて写真入で紹介いたします。(木頭村は、平成の大合併で「那賀郡那賀町」になりました。また上記写真は、㈱きとうむらのサイト中の「木頭村はこんな村です」からお借りしました:同サイトには徳島県内の旧木頭村のアクセス地図ものっています。)

 By MANA(なかじまみつる)(C)

 「デジタル峠」と「無駄な公共事業」の話がとても印象的でした。藤田さんからのお手紙はつぎのとおりです。

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2007年2月 6日 (火)

利権への布石がはじまっているのだろうか?

政治力学のハザマで動くものとは

 友人で、もと参議院議員政策秘書をやられていた田中信一郎さんから、「今なぜ海洋基本法なのか?」の記事を読んで、個人メールにおたよりを頂戴しました。とても適切な指摘を含んでおり、ブログでの転載をお願いしましたら了解していただきました。田中さんは、政治の実践舞台での経験を糧に、現在大学院で、「政策決定過程」の研究を専門にされています。(中島 満)

 ご無沙汰しております。田中信一郎です。ブログ拝見いたしました。

 政策決定過程の研究者の目から見ても、非常に的確なご指摘だと思います。

 特に、中島さんは、「基本法」が議員立法でやられることの不思議さを指摘していますが、ここは非常に重要な点だと思います。

 原則として、各省庁は、つくりたい法律について、議員に依頼して立法するよりも、内閣提出のやり方を好みます。なぜならば、議員立法に比べて、内閣提出法案の方が、官僚にとって不確定要素がはるかに少ないからです。

 それでも、省庁主導で立案した法案を議員立法にしようという今回の様なケースが、まれにあります。(審議会の答申や海洋開発法案などがあることから、実質的には国土交通省、つまり旧建設省が立案作業をしているのは明白です)

 その理由は、内閣提出法案は、全省庁の賛同を必要とするからなのです。(これを担保しているのが、閣議前に開かれる事務次官等会議です)

 つまり、他省庁の賛同を早期に得られる見通しがない法案を、省庁間調整を回避するために、議員立法に持ち込むわけです。

 当然、他省庁も族議員を通じて、反対の働きかけをしますが、いまだに実力を有する建設族と、落ち目の農水族では、力の差があります。

 しかも、旧運輸族の賛同も得ているのでしょうから、農水族、それも水産族は、十分に太刀打ちできないでしょう。

 さらに、一見、宣言法として曖昧にし、民主党も賛同の動きを見せているとなれば、自民党の水産族議員たちは非常に反対しにくいはずです。

 最終的には、何らかの覚書(秘密協定)が国土交通省と水産庁との間に交わされて、決着するように思います。

 国土交通省の狙いも、中島さんのご指摘どおりだと思います。

 要は、海洋開発の主務官庁を国土交通省にすることが、当面の目的なのだと思います。旧建設官僚と旧運輸官僚のタッグという印象も受けます。具体的な利権への布石とも言えるでしょうか。

 いずれにしても、水産庁や環境省にとっては面白くないものでしょう。

 結局、議員立法というのは、政府内の不協和音を示しているのだと思います。

田中 信一郎(明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士後期課程/元参議院議員政策担当秘書)

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2007年1月18日 (木)

カキで海や川を浄化しよう

マリンガーデニングを実践

 海の『守り人』論やMANAが出す漁業権関連出版物の著者で、東京湾で海辺の環境教育を実践している田中克哲(NPO「ふるさと東京を考える実行委員会事務局長」)さんからカキで海水や川を浄化しようというマリンガーデニングの実践活動についておたよりがありました。下記に転載します。

  • 田中克哲さんからのおたより

いつも大変お世話になっております。
寒さが一段と厳しくなっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ふるさと東京を考える実行委員会は、そんな真冬の寒さにも負けず、カキの成長調査、東京の水辺探検、その他様々なイベントを意欲的に行っております。子供たちはたいへん好奇心旺盛で、最近では定員をオーバーするほどの人気ぶりです。

さて、このような地道な活動が、1月12日の東京新聞朝刊に掲載されました!記事をリンクいたしましたので、是非ご覧下さい。

また、1月25日(木)のNHKラジオ夕刊(NHKラジオ第1放送 午後6時~6時50分)では、理事長の関口雄三が生放送の電話インタビューに答えます。関口のインタビューは、6時20分頃となっておりますので、お時間がございましたら是非お聴き下さいませ。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

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NPO法人ふるさと東京を考える実行委員会事務局長 田中克哲

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2006年12月 1日 (金)

里海から地域の仕組みを考える

人と自然のかかわり利用するから守る、守るから利用が続けられる

 「関いずみ」さんから次のような[季刊里海]創刊号を読んでの「感想」のおたよりをいただきました。

私は、漁村の地域を維持する仕組みとして、「環境社会システム(「環境」と言う言葉が云々というのはちょっと置いておくとして)」ということを考えてきました。

例えば漁村を考えたときに、漁村では、漁業という基本的に自然から採取することで成り立つ産業を核として、経済が成立し、そのことで生活が保たれる。海の生物は自然界が創り出す「天の恵み」なので、漁業が成立し継続していくためには、生物が再生される自然環境が維持されることが絶対条件となる。

漁村地域の人々は自分たちの生活の基盤となる漁業が自然からの恩恵によって成立していることを認識し、行事や信仰の中で自然への畏怖と敬意の念を表現してきた。

また、季節や地域毎に異なる自然条件に漁労形態を合わせて生産をあげる工夫が凝らされ、地域の自然の循環を妨げないような努力もなされてきた。近年、森林と沿岸域との関連が改めて見直され、漁業者が率先して荒廃した森林に樹木を植える運動を行っているが、このような活動は漁業という人間の生産活動が自然界のシステムの中で営まれ、自然環境が保全されて始めて人間の諸活動も成立すると言う認識を具体的に示している一つの例だと思う。

もちろん、産業の効率化や生活の便利さを求める余り、あらゆる環境が改変され、そのことが結局地域の自然を破壊している例はいくらでもある。けれど、結局そのことは、最後には環境汚染やそれに伴う様々な弊害となって人間に戻ってくる。

つまり、人がその産業や生活を維持しようと思ったら、これら人間の行為を支えるために利用する自然を、(その利用を継続させるために)きちんと守ることが大切で、そういった人と自然との互酬性(利用するから守る、守るから利用が続けられる)ということが、地域を維持する仕組み(つまり環境社会システム)なのだと考えてきたわけです。

それぞれの地域で、どこにどれだけ重点を置くか、例えば、より産業振興をめざすとか、環境保全と言うところを重めにするとかいうことが、これからの地域がどういう姿になるのかというところに大きく関わってくるのだと思います。

地域のあるべき姿(構想)については、地域自身が選択権を持っている。重要なのは、どれかを重んじるあまり、他の要素が崩壊してしまったら元も子もない、ということを、みんなが認識して、時には活動に規制をかける勇気を持たなければならないということではないでしょうか。

本誌で、柏島の神田さんが示されている、便利な暮らし←→里海←→環境保全という仕組みは多分非常に類似した考え方ではないかと思うのですが、人と自然を結びつける要素として里海(ゆれうごく里海)というものが明確に挙げられることで、人々の生活と自然との関係がより具体的なメッセージとなって届けられていると感じました。それはおそらく、神田さんにしろ金萬さんにしろ、実践を通してものを見、考えている方だからこその、「実体あるメッセージ」なのだろうな。

関いずみ((財)漁港漁場漁村技術研究所 海とくらし情報室)

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2006年11月16日 (木)

コモンズの「観光的利用」って?

『村落共有空間の観光的利用』池俊一著がまもなく発刊されるそうです

コモンズの「観光的利用」について

「ローカルルールの研究」の著者の一人でもある池俊一先生(早稲田大学教授)が、学位(博士)論文を元に『村落共有空間の観光的利用』(風間書房)を出版されるというお便りをもらいました。

[季刊里海]創刊号の特集2「海は誰のものだろう?」を読まれて、同特集を「拝読しましたが、重要な論点が的確に提示されており、大変参考になりました。来週あたり拙著『村落共有空間の観光的利用』が刊行の運びとなりますが、座談会での議論は拙著の内容と重なる部分も多く、拙著もまんざら的外れな内容ではなさそうですので、少々安心いたしました。」というお葉書の内容です。

 座談会という、そうとうにフリーな立場で、ある意味では放談しているからこそ、問題点に迫ることのできる提示機会になるという編者の意図を理解していただき、「こちらこそ、そうなんですよ、ありがとう」とうれしい瞬間です。ひとつかみに「コモンズ」というとらえ方をするよりも、日本のいろいろな地域社会でおきている、そして起きてきた現実的な実体を、ボーダレスな見方で、それぞれでフォーカシングしていくことが、今は大切だという気がしていますから、こういう視点の著作は、とても大切なのだと思います。

里海を考える視座のバリエーションがふえました

 ということで、送っていただけるそうなので、いまから読むのがとても楽しみです。池先生には「ローカルルールの研究」において、第4章「伊豆半島大瀬崎におけるダイビング観光地の発展」(有賀さつきさんと共執筆)を担当していただきました。同論文の内容も含まれ、地理学のジャンルにおける「共有空間」を、いわば「コモンズ」として位置づけ、LR的用語でいえば「入会的利用」と「市民的利用」を「観光的利用」として、「漁業的利用」の延長線上で現代の沿海域の地域社会が生き残りを図るための智恵を提供するための「理論化」をはかったというような意義があるのだと思います。

 これで、また「里海」を考えるための視座のバリエーションが一つ増えた感じです。

 本が届いたらMANAによる感想=メモ(学術論文なんで、「書評」を書ける立場にはとうていなさそうですから)をぜひ書きたいと思います。

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